1、OB税理士とは何か
税理士試験に合格する以外にも、税理士になるためにいくつかの方法があることは一部ではよく知られています。
以前は大学院に4年通えば試験を全く受けなくても良いという裏技がありました。
いわゆるダブルマスターという方法です。
ただしその方法は平成13年の税理士法改正で一定の歯止めがかけられました。
もうひとつの方法として、公務員として税務署に23年勤務すると税理士の資格が付与されることになっています。
この方法で税理士になった人を一般にOB税理士と呼んでいます。
もちろん23年ですから、これは税理士になる方法というよりは、長年勤続した結果として与えられる褒章のようなものです。
なぜこのような制度ができたのか、戦後間もない頃のお話ですから今でははっきりしませんが、
当時は公務員のなり手が少なく、あの手この手で優遇策を打ち出す必要があったのかもしれません。
試験に合格した税理士、いわゆる試験組からはこの制度に対する不満の声が当然あります。
それ以外にもこの制度はいくつかの問題点が指摘されているのです。
2、問題点その1(数が多い)
ほとんどの資格では、試験に合格する以外にもその分野で充分な経験を積むなどしてその資格を
取得する方法が存在します。
ですからOB税理士という制度自体に驚くことはありません。
驚いてしまうのはその数の多さです。
現在、税理士として正式に登録・活動しているのは約7万人です。
このうち、税理士試験に合格した試験組はわずか4割強と言われています。
そして約3割がOB税理士なのです。
もちろんこの中には、ほぼ定年まで勤めあげて、老後のひとつのよすがとして、登録はしているけれども
活動実態はほとんどない方も含まれているでしょう。
ちなみに残り3割は公認会計士組、マスター組などです。
それにしても3割、約2万人はすごい数字ですね。
現在の税理士7万人は過剰と言われており、都市部を中心に税理士間の競争は激化の一途をたどっています。
試験組の中にはせっかく苦労して資格を取得しながらもなかなか事務所運営が軌道に乗らないケースも多いです。
OB税理士への怨嗟が生まれるのもやむないことかもしれません。