1、会計参与とは
会計参与とは平成17年に成立した会社法(いわゆる新会社法)で定められた制度です。
株主総会や取締役、監査役と並ぶ株式会社の内部機関の一つであり、就任できるのは
税理士、税理士法人、公認会計士、監査法人のみと定められています。
会計参与は各事業年度の計算書類(つまり決算書)を取締役と共同して作成することが主な役割とされています。
もともと新会社法の制定にあたっては、大企業に比較して中小企業の決算書の信頼性が低いこと、
そのために監査制度を任意ではあるが中小企業にも適用できるようにする方向で検討が進められていたようです。
しかしながら中小企業にとってそれらは事務処理面、費用面で負担が大きすぎて現実的ではないこと、
さらには日本税理士会連合会の提言もあって、最終的には税理士や公認会計士が会計参与に就任すると
いう形式でまとめられました。
2、メリットは何か
この制度では誰にどのようなメリットがあるのでしょうか?
まず第一に中小企業にとってのメリットが考えられます。
ほとんどの法人には税理士が顧問として存在しますが、顧問税理士という立場からさらに踏み込んで
会計参与として就任すれば、会計参与は登記も行われますので、取引先や金融機関に対して
経理面がしっかりしている会社という印象を与えることができるでしょう。
第二に金融機関にとってのメリットです。
金融機関が中小企業に融資を行う場合、現状では保証協会の保証、または担保や第三者保証人を
求めることが一般的です。
これは前述のように中小企業の決算書への信頼度が低い、言いかえれば粉飾決算で黒字を赤字に
見せかけるケースがあるために金融機関が自己防衛としてそうしているわけです。
税理士や会計士が会計参与に就任した場合、もし粉飾決算に加担すれば債権者(金融機関)への
損害賠償責任を負うことが明確に定められています。
であれば、会計参与を設置している会社に対しては金融機関はより積極的に、より安心して融資を行う
ことができるはずです。
(但し会計参与でない顧問税理士でも、完全な粉飾決算に加担すれば刑法上の詐欺罪や民事上の
損害賠償責任を問われることは言うまでもありません)。
第三に税理士にとってのメリットです。
この制度の実現については日本税理士会連合会の強力な後押しがありました。
確か私の記憶違いでなければ、新会社法の前身となる法律、旧商法には税理士に特定の役割を与える
条文が全くなかったらしいのです(税理士会の会報などでそんな文章を読んだ記憶があります)。
それが初めて条文上で税理士の存在が認められた、これは税理士にとって大いなる前進であるという
論調だったと思います。