税理士と他資格との関連性を考えた時、よく問われるのが“税理士と公認会計士の違い”についてです。実際にいずれかの資格で実務に携わっている方であればよくご存知かとは思いますが、一般的には「両者の区別がはっきりとつかない」といったイメージが拭いきれないようです。
本項では、税理士と公認会計士はどんな風に異なるのか簡単にご紹介していくことにいたしましょう。
税理士と公認会計士の違いを考える上で、最も注目しておくべき点は、両者の「独占業務」にあります。
税理士の場合、税務関連の各書類を依頼者の中小企業に代わって作成すること、つまり「税務業務」を専門とします。
一方で公認会計士は、大企業が作成した書類をチェックする、「監査業務」を主とします。
どちらもお客様である企業から料金をいただいて事務的なサポートを行う仕事ですが、通常のサービス業と大きく異なる点は、単にお客様の利益を図るだけではなく、他にも守らなければならないものがあるということです。
税理士は税理士法第一条において「独立した公正な立場において」業務を行うことが定められています。
すなわちお客様企業と国家(税制)の中間にその立ち位置があるということです。
公認会計士の場合は市場において公開される財務情報の正当性をチェックしますから、ある意味では投資家(株主)の利益を守るための存在であると言えるわけです。
一見すると区別しにくくても、「何ができるのか」「誰のために働くのか」を考えてみると、その相違がくっきりと浮き上がってきますね。
ちなみに、公認会計士資格を取得して監査法人で実務経験を積むと、税理士登録をすることにより試験を受験せずとも税理士資格を保有できます。
こうした点が公認会計士>税理士といった印象が一般的に広く浸透する所以ともなっているわけですが、本当にそうでしょうか?
他の資格との比較で優劣を考えるのではなく、専門家として自身がどのように生きていくのか、お客様のために何ができるのか。
それを前向きに考えていける人こそ、今後の競争社会で生き残ることができるでしょう。