1、国民健康保険組合とは
ご存知のように会社員およびその扶養家族以外の自営業者、年金生活者などは
健康保険については国民健康保険に加入します。
ところで自営業者のうち、いくつかの職業については市町村が運営する国民健康保険とはべつに
その同業者で運営する国民健康保険組合というものが存在することはご存知でしょうか?
医師が加入する○○県医師健康保険組合、薬剤師が加入する○○県薬剤師国民健康保険組合、
さらに作家などの文筆家が加入する文芸美術国民健康保険組合なんてものもあります。
税理士も同様に税理士国民健康保険組合があります(略して税理士国保)。
なお税理士国保の場合は、都道府県毎ではなく、税理士会の管轄にあわせて
関東信越税理士国保組合、近畿税理士国保組合が設立されています。
つまりそれ以外の地域の税理士は通常の国保に加入しているわけです。
なぜ上記2つの地域にだけ税理士国保組合が設立されているのか、よくわかりません。
ちなみに制度としてはもともと国民健康保険組合が先に創設されたもののようです。
その後、昭和33年に国民健康保険法が制定されて市町村の国保がメイン、国保組合が
それを補完するものと位置づけられました。
2、近畿税理士国民健康保険組合
近畿税理士会に加入する税理士とその家族、事務所従業員とその家族は
近畿税理士国民健康保険組合に加入することができます。
税理士国保に加入しないで、市町村の国民健康保険に加入することも可能です。
当然ですが、税理士自身が市町村国保の場合、家族や従業員だけが税理士国保に
加入することはできません。
近畿税理士国保は国民健康保険法の制定と同じ昭和33年に発足し、平成22年2月末時点では、
被保険者数31,379人(税理士5,854人、従業員9,722人、家族15,803人)となっております。
近畿税理士国保の加入要件は近畿税理士会会員たることですが、
根拠法令の違い(税理士法と国民健康保険法)、管轄官庁(財務省と厚生労働省)の違いから
両者には直接の関係はないこととされています。
さて気になる保険料ですが、平成23年現在、税理士本人は29,000円、従業員は15,000円、
家族は1人について8,500円となっています。
また介護保険料は3,100円です。
医療機関を受診した場合の自己負担は3割、これは市町村国保と変わりません。
3、税理士国保の今後
税理士国保がそうであるように、国保組合の保険料は月額定額制が多く、
高所得者にとっては有利である考えられていました。
少ない保険料でも被保険者の経済状況、年齢構成から運営は安定していました。
しかしそれも過去の話となりそうです。
税理士国保も近年、ぐんぐん保険料が上昇しています。
数年前までたしか税理士本人の保険料は20,000円だったと記憶しています。
家族や従業員の保険料ももう少し低い金額でした。
上に掲げた平成23年現在の保険料では、税理士本人に扶養家族が3人もいれば
年間保険料はかんたんに市町村国保の上限額と同じくらいになってしまいます。
税理士国保が有利と言えるのは高所得で、扶養家族の少ない従業員だけと
言えそうですね。これも将来どうなるかわかりませんが。