1、書面添付制度の概要
書面添付制度とは、簡単に言いますと税理士が顧問先の申告書を作成して
税務署に提出する際、「これこれこの通り、きちんとやりましたよ」という
内容の書面を添付して、それによって一定の場合には税務調査を省略してもらう制度です。
もともと昭和26年に制定された税理士法においても、
「不服申し立てに係る調査の意見聴取制度」というものが設けられていましたが、
平成13年の税理士法改正において、これをさらに発展拡充し、
(新)書面添付制度がスタートすることとなりました。
この制度の目的は近畿税理士会マニュアルにも次のように記されています。
「書面添付制度は、税理士の社会的地位の一層の向上と信頼される税理士制度の確立のため、
公共的使命を持つ税理士の立場をより尊重したうえで、税務の専門家である税理士に
与えられた権利の拡充であり、ひいては税務行政の円滑化・簡素化を図ることにあります。」
2、添付書面
添付する書面は大きく2種類あります。
30条書面(税務代理権限証書)と33条書面と言われるものです。
30条書面は税理士または税理士法人が顧問先から依頼を受けたことを
法的に明らかにする重要な書面です。
とはいうものの形式が定められていなかったため、平成13年税理士法改正において
様式が統一されました。
いっぽう33条書面は資料の計算〜整理〜申告書の作成を税理士事務所が行った場合と、
申告書の作成までお客様自身が行い税理士事務所はそのチェックを行った場合とで
書類の形式がわずかに異なります。
具体例としてはなぜ粗利率が低下したか、人件費が増加したのはなぜかなどを
事実に即して簡潔に記載していきます。
3、意見聴取制度
意見聴取制度とは、申告書に上記の30条書面および33条書面が提出されている場合、
税務調査を行う前に当該の税理士に対して意見聴取を行い、意見聴取の結果、
税務調査を行う必要がないと認められる場合には調査を省略することができるという
制度です。
(新)書面添付制度は、書面添付制度と意見聴取制度を合わせて一つの制度と考えて
よいでしょう。