近畿税理士界のマニュアルでは添付書面作成にあたっての留意点が全部で
11項目挙げられています。
これらは書面作成に止まらず、税理士業務における顧問先対応全般に
あてはまることが多いと思われます。
1、税理士の関与の程度の開示と税理士の意見の表明であって、申告内容の全面的な保証ではない。
いきなり微妙な問題が出てきました。税理士はお客様から資料の提供を受けて申告書の作成・税額の
計算を行うわけですが、その資料に誤りがあったり、あるいは故意に何らかの資料を提出しない、
虚偽の資料を提出されるという可能性もあります。
この場合に税理士は税務署と異なり、強制的な調査権限を有しているわけではありません。
税理士とお客様の顧問契約はあくまで信頼関係に基づくものであり、その意味において
税理士は申告書が常に100%正しいということは保証できないわけです。
2、税理士業務の適正性をアピールする。
書面添付によりアピールする最大のものは申告書が正しいということではなく、
税理士が業務を適正に行っているということです。
思い出してみると、税理士は税理士法第1条において
「独立した公正な立場において〜納税義務の適正な実現を図ることを使命とする」と
定められています。
税理士業務の適正性をアピールするということは、納税義務の適正な実現を図っている
ということであり、結果的には申告書が正しいということをアピールします。
3、税理士が委嘱契約に基づいて遂行した業務に関する事項を記載する。
4、相談を受けた事項及びそのてん末を記録しておく。
これも書面添付にかかわらず重要な事項ですね。
各担当者は十社以上の顧問先を担当するわけですから、毎回の訪問時の相談内容を
記憶しているというのは無理な話です。
相談内容には税務に関係するものやしないもの、その場で回答すればすむものや決算申告に
大きく係るものまで様々です。
当事務所では必ずお客様毎にワードで備忘録を作成し、面談内容を簡潔に記録しておくよう
指示してあります。
5、税目ごとに作成する。
6、添付書面における帳簿書類とは
7、添付書面を添付する基準
これも税理士にとっては悩むところでしょう。ある顧問先には書面添付を行い、別の顧問先には
行わない。また、ある顧問先の前年度は書面添付を行い、今年度は行わない。
これではその顧問先、あるいはその年度の申告書が信頼に耐えうるものではないと税理士が
認めているように受け取られかねません。
結局、「書面添付はいっさい行わない」という方向に傾いてしまいそうです。
8、粉飾決算があった場合には
9、委嘱者の理解を求めるべきである。
10、虚偽記載は懲戒の対象となる。
11、業務チェックリストは添付書面作成の有効な資料となる。