無償独占2

3、無償独占の実状

ところでこの無償独占が現実に堅持されているかというと、残念ながらそうではありません。

申告書の書き方をよく知っている人が、知り合いの申告書を手伝ってあげたというくらいなら

可愛いものですが、そうではなく、大規模、組織的なケースがあります。

例えば有名なのは某政党系の組織ですね。

それから納税協会や青色申告会など、公的性格の強い組織まで実態として

申告書の作成を代行していることは残念なことです。

 

4、記帳代行は独占業務か

もうひとつ、この無償独占問題において話題になることが多いのが記帳代行業務です。

記帳代行業務とは売上や仕入、給料、諸経費、通帳の動きなどを帳簿につけていくことを

言います(現在では通常、会計ソフトと呼ばれる専用のソフトで入力していきます)。

これは決算書や申告書を作成する基礎となる業務で、10年ほど前までは自社で行うか、

税理士事務所に依頼するかどちらかでした。

つまり税理士以外に頼むと税理士法違反になると考えられていたのです。

ところが近年になって税理士法をよく読めば記帳代行業務は無償独占の対象とは

されていないということがわかりました。

今では多くのアウトソーシング会社が記帳代行を請け負っています。

 

5、無償独占の今後

ところで個人的にはこの無償独占、まるで予言者が作ったのではないだろうか、

今この時代にこそ重要な意味を持ち始めたなあと思うことしきりです。

ご存知のようにこの数年、「無料」サービスが急速に市場を席巻しつつあります。

もちろんその裏では広告料収入やその他の付加サービス収入などでちゃんと収益は

確保しているわけです。

もし無償独占がなければ、税理士業務は無料サービスの格好の標的になるような気がしてなりません。

例えば中小企業に対して申告書の無料作成を撒き餌にして、外資系の生損保会社が保険商品を

売りつけたり、OA関連業者が事務機器のリース契約を売りつけるなど・・・

もちろんこれらの契約は結果的にずいぶん割高になるでしょうね。

まさか税理士法制定時に2010年代を予想できたわけではないでしょうが、

「予言者が作ったのではないか」という思い、同感の税理士が多いのではないかと思います。。

 

税理士業務を無償独占ではなく有償独占にする、つまり無料で行うぶんには

かまわないとした場合に予想される事態を上に記しました。

これに対して税理士業務は高度な専門性が必要であり、そこいらの業者が算入してもどうせ

自然淘汰される、結局は誠実に仕事をしている税理士に仕事は戻ってくるという意見があります。

私はそうは思いません。細かい理由は述べませんが悪貨は良貨を駆逐すると思います。

そもそも無料に飛びついてしまうのは(私自身も含めて)全人類共通の性であり、

その傾向はますます強まるような気がします。

「ただより高いものはない」ということわざはそのうち滅びるでしょう。


以上、様々に考え合わせれば無償独占の堅持はやはり必要ではないかと思うのです。

外部からの異論は強まるかもしれませんが、この点に関しては税理士業界は団結したほうが

よいかなあと思います。

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