税理士法人1

1、税理士法人の概要


従来、税理士法においては税理士業務は自然人である税理士個人が行うものとされていました。

しかし近年、税理士業務は急速に複雑化・国際化・大規模化しつつあり、高度な専門性を持った

複数の税理士が共同して税理士業務を行う必要性が高まっていました。

おりから、政府は各分野において規制緩和を積極的に進めるようになります。

そこで平成13年の税理士法改正において、複数の税理士が共同で税理士業務を行う税理士法人の

制度が定められました。

平成22年3月末においては、各地の税理士会に登録している税理士法人の数は1,949件になっています。

これは税理士法人の本店の件数であり、他に支店の登録数が802件です。

制度開始から約10年を経て、税理士法人制度は一定の地位を占めつつあると言えるでしょう。

 

2、なぜ税理士法人が必要とされるのか〜業務の高度化・支店の設置


上述したように、平成13年以前は税理士法において、税理士は一個人として単独で業務を行うことが

定められていました(もちろん職員を雇用して業務に従事させることは認められます)。

さらに一人の税理士は一か所しか事務所を設置してはならないとも定められています。

これはクライアントである納税者に対して責任の所在を明確にするためであるということが大きな理由でした。


しかし時代の流れが変化を求めるようになります。

近年、法人税・所得税・消費税・相続税など、各種の税法は急速に複雑化しました。

一人の税理士がすべての税金について完全な理解を持つことは困難になりつつあります。

さらに現実の経済活動においても、国際化やIT化が進展して、税理士は税金以外にも

高度に専門的な知識を習得する必要に迫られるようになりました。

中小企業だけをクライアントとしている事務所なら税理士一人でまだ何とかなります。

しかし大規模な会社を相手にしている場合、税理士一人では質的に業務を完全にこなし切れない

状態になってきました。

そうすると会社側でも必要に応じて複数の税理士と顧問契約を結ばなければなりません。

 

事務所を一か所しか設置できないという点もそうです。

たとえば東京の会社がある税理士事務所に申告を依頼していて、大阪に子会社を設立するとします。

会社としてはできるなら同じ事務所に申告を依頼したいものです。

この場合、その税理士事務所も大阪に支店・出張所があればよいのですが、従来の税理士法では

それは認められませんでした。

東京から税理士が出張して税理士業務を行うことはかまいませんが、本来の事務所以外に

支店や出張所を設けることはできません。

大規模な会社を顧問先に多く持つ税理士事務所にとっては不便で仕方がないことでしょう。


税理士法人制度はこれらの問題点を解決するものです。

それぞれ違う得意分野をもった複数の税理士が共同して税理士法人を設立すれば、

クライアントは複数の税理士事務所と契約する必要がなくなります。

また、税理士法人は支店を設置することが認められますので、東京の親会社は東京にある税理士法人の本店で、

地方にある子会社は税理士法人の支店で、機動的包括的に対応してもらうことができるわけです。

 

3、なぜ税理士法人が必要とされるのか〜事業承継


もうひとつ税理士法人には大きなアドバンテージがあります。

それは税理士に不測の事態が生じた場合、具体的には急病や事故に遭った場合です。

これまで税理士個人でしか事務所が開設できなかった時代、もし税理士が急死すれば

その税理士事務所は直ちに閉鎖するしかありません。

クライアントは大急ぎで次の税理士を探す必要があります。

決算や申告の期限が迫っている場合などは大変です。

これが税理士法人であれば、メンバーの税理士がもし急死したとしても、

税理士法人そのものの運営には影響がありません。

その税理士が担当していた業務は他の税理士が引き継ぐことになります。


高齢の税理士が引退する場合も同様です。

個人事務所であれば後継者を探すか、あるいは別の事務所にクライアントを譲渡するか

対応を考える必要がありますが、税理士法人の一員であれば安心して引退することができます。


税理士個人の状況に影響されることなく、業務の継続性が保たれるという点が税理士法人の強みです。

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