成年後見

1、成年後見とは

 

成年後見制度をご存知でしょうか?名前は聞いたことがあるけれども詳しいことはわからないという方が多いかもしれません。

それも無理がない話で、この成年後見制度は2000年4月からスタートしたまだ新しい制度なのです。それまで民法で定められていた禁治産制度・準禁治産制度に代わるものとして導入されました。

 

成年後見制度は簡単に言えば判断能力の衰えた人を、あらかじめ定められた後見人が必要な範囲でサポートする制度です。

日本は今後極端な高齢化社会を迎え、認知症を患う方も増大すると予想されているなかで、この成年後見制度はより重要にものになってくるはずです。

 

ところでこの成年後見制度において後見人に就任するのは子供や親族が多いのですが、適当な親族がいない場合には専門家である第三者が就任するケースも増えてきています。

 

専門家あるいはその業界団体のうち、この制度にまず積極的に取り組んだのは司法書士です。

成年後見は判断力が衰えた人の一種の代理人であってある程度の法律知識が必要とされること、また成年後見では就任にあたり登記が必要とされることから、司法書士は第三者後見人としてうってつけの存在であると言える訳です。

 

2、税理士会の取組み

 

司法書士、後には弁護士や行政書士が積極的に取組みだした成年後見制度ですが、税理士界ではなかなかこの制度に関する理解が深まらず、独自に勉強して後見人に就任する税理士はいるものの、それが大きな動きになることはありませんでした。

もともと税理士は専門家のなかでも比較的民法に縁が薄く、それがこの制度との微妙な距離感を醸していた遠因と言えるのかもしれません。

 

しかしながら、成年後見制度に関する理解が社会全体として少しずつ深まっていく中で、税理士こそ後見人には適任ではないのかという考え方が生まれてきます。

 

なぜかといえば税理士は税金だけではなく、いわばお金全般についての専門家です。

後見人の主要な業務の一つに財産管理があります。

被後見人の財産の状況をきちんと把握して、被後見人のため適切に費消していくことは他の専門家と比較しても税理士と親和性のある業務ではないでしょうか。

 

さらに被後見人は高齢者が多いため、死亡後は遺産相続や相続税申告が必要となりますがこれも税理士の専門分野です。

このように成年後見制度と税理士には多くの接点があるとわかってきたのです。

 

このような流れを受けて日本税理士会連合会は2011年7月に日税連成年後見支援センターを設けて、税理士の成年後見業務に関する支援及び情報収集を行うこととしました。

今後は全国15の地方税理士会にも順次成年後見支援センターが設置される予定です。

 

税理士は全国で7万人が活動しており、他の士業と比較しても人数が多くそのマンパワーは大きなものです。今後成年後見制度においても税理士が大きな役割を担うことになるかもしれません。

 

3、問題点

 

このように税理士も成年後見制度に積極的に関与するようになったわけですが、問題点もいくつかあります。

 

まず後見人は一種の代理人として被後見人のため法律行為を行うことから、民法やその他の法律に精通している必要がありますが、先述のように税理士は必ずしもそれらに詳しくないことが多く、知識不足により被後見人に思わぬ損害を与える恐れがあります。

近年、成年後見人専用の損害保険が作られましたが、やはり十分な研鑽・万全の準備をもって後見業務を行うことが求められるでしょう。

 

さらに重大な問題として、成年後見は税理士の本来業務ではない、税理士法で定められた独占業務でないことは明らかですが、そもそも税理士が行って良いのかどうかという問題があります。

 

言い換えますと、被後見人のため法律行為を行うことは弁護士法との関係でどうなるかということです。

これは微妙な問題ですが、将来的には何らかの指針が各士業団体から示されることになるかもしれません。

 

最後に倫理上の問題を指摘しておかなければなりません。

近年、親族後見人・第三者後見人を問わず、被後見人の財産を横領して刑事告発されるケースが相次いでいます。

もし税理士の後見人がそのような問題を起こせば、税理士に対する社会からの信頼は失墜します。

税理士が後見人に就任する以上、当然ながら本来業務と同様に高い倫理意識を持って業務を遂行することが求められるでしょう。

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