よくお客様から税理士と公認会計士はどう違うの?と聞かれます。
税理士という資格は、独占業務として税務業務をすることができる資格です。
いっぽう公認会計士という資格は、独占業務として監査業務をすることができる資格です。
日々の税理士の仕事の中では、記帳指導や会計アドバイス・記帳代行などを行っていますので
公認会計士と区別がつきにくいと思います。
公認会計士は大企業などの会計監査を主たる仕事にしております。
会計監査とは、大企業(上場している会社など)が作成した会計帳簿や貸借対照表・
損益計算書などの計算書類をチェックしたりお墨付きを与えるという仕事です。
税理士はお客様の会計資料や税務書類をお客様に代わって作成します。
このように税理士と公認会計士の仕事は異なります。
といいましても、現実問題として公認会計士が税理士の仕事をしている事務所もあります。
それは公認会計士という資格を取りますと、税理士の登録ができるという利点があるからです。
税理士も税理士という資格を取得した際には行政書士という資格も取得ができます。
街で見かける税理士・行政書士事務所と一緒に書いてある看板は、そういった理由なのです。
よく似た資格ですが、資格取得試験については税理士と比べて公認会計士の方が難易度は高いです。
税理士の資格取得試験は5科目を毎年コツコツ取得することができます。
何年かかっても資格取得試験に挑戦が可能です。
公認会計士の資格取得試験は1年に1回の試験で合格をしなくてはなりません。
その違いが難易度を高める理由だと思います。
税理士の資格取得方法は合計5科目に合格すればいいのですが、たとえば、法人税法・所得税法と他の税法のうち
2科目を選択して合格すること(税法科目)、および簿記論・財務諸表論の合格(会計科目)が必要になります。
双方ともに合格率はとても低いのが現状ですが、税理士の資格はとても人気のある国家資格のひとつなのです。
それは税理士がお客様の身近に存在する資格であるということだからだと思います。
あなたなら税理士という資格と公認会計士という資格、どちらを取得したいと思いますか?
税理士という仕事は世間ではとても安泰な業界と思われていますが実はそうでもありません。
この業界も税理士の増加、それと反比例するお客様(=中小企業)の減少のために競争が激化しつつあります。
こうした中で、税理士も生き残っていかなければなりません。
税理士はお客様の試算表を見ながら損益分岐点、経営分析や今後の経営戦略など、
お客様の立場でアドバイスを行います。
このような分析と行動が今や税理士自身にも求められる時代になりつつあるのです。
(その他の国家資格を取得して仕事をしている弁護士や司法書士、社会保険労務士や行政書士なども
その業界ごとの競争は厳しくなりつつあるようですね。)
税理士業界では昔、税理士報酬規程というのがありましたが、平成14年4月1日施行の
改正税理士法ではその報酬規程が廃止されています。
報酬規定は各種報酬の最高限度額を定めたものです。
つまり最低は定めていませんから、それまでも報酬を安くして価格競争を行うことは可能でしたが、
報酬規定の廃止は本格的な競争時代の幕開けであったとは言えるでしょう。
さまざまな業種のお客様と同様に、税理士自身も生き残りというキーワードを今後常に
意識する必要があります。
たとえば税理士や弁護士・その他の国家資格では事務所の法人化が見受けられます。
同業種の専門家でもそれぞれ得意分野がありますから、複数の専門家を集めて守備範囲を広げ、
多くのお客様のニーズに応えようとするわけです。
税理士業界でも大規模な税理士法人が誕生しつつあります。
個人事務所と法人事務所が税理士業界では併存するのです。
たとえば薬局業界も町の小さな薬屋さんが、チェーン展開している薬局と競争しています。
業種によっては大きな会社と直接戦うことはとても困難かもしれません。
しかし税理士業界はそのサービスの特質を考えると、規模が全てではないと思います。
小さな会社でもいろいろな工夫をして大きな会社に勝つことができるように、
小さな会社ならではのサービスは、大きな会社にとってみれば強敵なのです。
税理士業界で一番忙しい所得税の確定申告の時期が迫ってきましたね。
法人様・個人事業主様の双方に係る申告制度で白色申告と青色申告があるのですが、
どのように異なるのか説明したいと思います。
まず白色ですが白色申告とは、税法上、実は存在しません。
要するに青色申告書以外の申告書(以下、白色申告という)というのが正解ですね。
白色申告で私しています、という方が個人事業主様には多いです。
どうしてかと言えば、おおよそ領収書がいらないからとか、青色申告にすると難しいな〜とか、
簿記知らないしとか、記帳義務がないからなどいろいろ理由があります。
しかし白色申告でも、1年間の売上高や経費の集計はしなくてはなりません。
昨今の税制改正の議論では、白色申告をしている人でも領収書や売上に係る請求書や
事業に係る全般の書類の具備などがあります。今後の税制改正ではおそらく書類に関する
事項が追加されそうなので、注意が必要です。
(注:平成23年度税制改正で、白色申告にも記帳と記録保存が義務付けられました。)
青色申告とは、いろいろな特典がある申告制度と言うべきでしょう。
上記の白色申告と比べ税金上の特典がたくさんあります。
青色申告は事業などに関係する売上に係る請求書や経費等における領収書の保存義務、
いわゆる帳簿保存がしっかりとしている納税者については、各種の有利な制度を適用して、
税金の金額を安くしたりすることが可能になります。
税理士にとってこれが一番お客様に喜ばれるところでもあり、税理士の腕の見せ所です。
白色申告は青色申告と比べ、義務は厳しくない代わりに税金に対する特典はあまり存在しません。
一方青色申告は白色申告と比べると、いろいろな義務はありますが、その代わりに特典を差し上げますという制度です。
その点では税務署もGIVE and TAKEです。
また書類の信憑性という点からは当然青色申告のほうが信頼性が高く
借入の際に白色申告書と青色申告書とで比べると、青色申告の方が融資も受けやすいですね。