決算整理を完了してデータチェックも終わったら、まず消費税の申告書を作成して税額を確定します。
ここで説明するのは原則課税・税抜経理の申告書を弥生会計で作成する場合です。
免税事業者の場合、この項目はスキップして下さい。
集計→消費税集計表→科目別税区分表
税区分はすべて、期間は期首から期末、決算仕訳は含む、金額は本体価額、で集計する。
各勘定科目について税区分に異常がないか確認する。
通常は貸借科目が対象外(固定資産借方は課税対応仕入)、経費科目が課税対応仕入または対象外となる。
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決算・申告→消費税申告書設定
・事業所設定〜事業所情報タブ、申告書設定タブを入力する→OK。
・申告基礎データ〜データ取込ボタンをクリック→はい。ここで画面をいったん閉じる。
・申告書の選択作成〜通常はその事業年度の確定申告分になっているはずなので操作不要。
(中間申告書や修正申告書作成時にこの機能を利用する)
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決算・申告→消費税申告書作成
・先に付表2の画面を開く。
課税⇔免税の棚卸資産の調整および調整対象固定資産のみこの画面で入力する。
・次に申告書の画面を開く。
予定納税金額、還付先口座、税理士法30条の欄を入力する。
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算出された最終値(消費税・地方消費税の納税額)に基づき、以下の消費税仕訳を入力する。
(借方)仮受消費税 (貸方)仮払消費税、未払消費税、雑収入
各勘定科目に付された税区分をすべて対象外に変更する。
雑収入差額は通常、数百円以内に収まる。それを超える場合は処理に誤りがある。
仮払消費税と仮受消費税が0になったか再確認する。
○参考:還付申告となった場合の「仕入控除税額に関する明細書」の作成
経理方式について税抜を選択する
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1、控除対象取引金額(個人事業者の場合:課税仕入高の計算)
仕入控除税額の欄のみ弥生にて転記されている。
イ)決算額、ロ)左のうち控除対象外金額、を付表2、勘定科目別税区分表などを確認しながら入力する。
入力したら控除対象取引金額の4%が、仕入控除税額の金額とほぼ一致するか確認する。
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2、還付申告となった主な理由にチェックを入れる。
消費税申告書が完成したらいよいよ法人税申告書の作成です。
とはいうものの法人税申告書の作成手順についてここで詳細に記述することは不可能です。
当税理士事務所では法人税申告書についてはNTTデータの「法人税の達人」というソフトを
使用していますので、法人税の達人で申告書を作成する場合の手順概略を説明します。
①新規作成(基本情報の登録)
3つのタブについてわかる部分はすべて入力する。
注・法人名、法人と代表者の住所は原則として履歴事項全部証明書通りに入力する。
②事業所情報の登録
注・都道府県名と市町村名は住所とダブってよい。
注・事業税基準、住民税基準は期末日現在の従業者数を入力する(バイトパート含む)。
なお移転、新設、廃止の場合には所在月数/事業年度月数を乗じた人数を入力する。
注・事業税基準( )の欄は資本金1億円未満の法人は入力不要である。
注・2以上の都道府県に事務所を有する場合、事業所数も手入力にして適正数値に変更する。
③申告書の作成(作成帳票の選択)
国税タブ、地方税タブでそれぞれ必要な帳票にチェック→確定
④地方税申告書の入力
・六号および二十号に法人番号、提出先、税率、均等割、予定納税額などを入力する。
・住民税利子割の金額があれば六号四の四、九号二に数値を入力する。
・共通情報のアイコンから必要事項をクリックする(通常は入力不要)。
⑤法人税申告書の入力
まず一表の数値以外の欄および二表を入力する。
次に別表の数字の大きいものから順に入力し五表(二)まで完成させる。
⑥他の別表の入力が完成したら
・五表(二)の③欄④欄⑤欄の入力を行う。
・四表の1欄(当期利益又は当期欠損)に、未払法人税等計上前の弥生会計上の当期純損益金額を入力する。
(この時点で弥生会計の(法人税住民税及び事業税)には予定納税分が入力済であることを確認しておく)
⑦いったん納付税額一覧表を印刷する。
⑧四表の1欄に、納付税額一覧表の差引納付額小計を減算した金額を入力し、
同じく差引納付額小計を五表(二)の32欄(損金計上納税充当金)に入力する。
(※損金計上納税充当金とは、会計上の未払法人税等のことを指す)
⑨もう一度納付税額一覧表を印刷し、先の一覧表と金額が一致しているか確認する。
⑩弥生会計で納付税額一覧表の差引納付額小計の金額について、未払法人税等の仕訳を入力する。
入力後、当期純損益金額が上記⑧で四表の1欄に入力した金額と一致しているか再確認する。
参考:⑥〜⑩までの作業について解説
「決算書の損益は税金を引かれた後の金額である」 と同時に 「税金は決算書の損益を基にして計算する」。
そうすると一見、お互いにいつまでも金額が確定しないように思われる。
(税理士以外の一般の方にとって、法人税の計算でこの点が最も理解しにくいとされています)
しかしながら、実際には税金の計算上、税金そのものは経費にならない。
従って税引前当期純損益金額が確定した段階で、税金の金額(最終損益も)は確定しているのである。
上記⑥〜⑩の作業も同様にまず税額を確定させてから、弥生会計と別表四、五に反映させる手順としている。
未払消費税等、未払法人税等が計上されて当期の仕訳がすべて入力されましたので決算報告書を
作成します。当税理士事務所では弥生会計を使用しています。
なお、この他に内訳明細書と事業概況書をそれぞれ内訳概況書の達人、弥生会計で作成します。
決算・申告→決算書設定→決算書設定
○基本設定/表紙タブ
基本設定や住所電話番号に間違いがないか確認する。
○タイトルタブ
原則としてすべて初期設定のままでよい。
○記名押印書タブ
入力不要(新会社法では記名押印書は要求されていない)。
○注記表タブ
中小企業(株式譲渡制限のある会社)の場合、原則として「重要な会計方針に係る事項に関する注記」および
「株主資本等変動計算書に関する注記」のみ、個別注記表ひな型からコピーし調整するだけでよい。
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決算・申告→決算書設定→株主資本等変動計算書
新設法人の場合や期中に増減資等があった場合には必要な調整を行う。
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決算・申告→決算書作成→印刷
印刷ウィザードで以下を確認する。
書式→A4/縦/勘定式
印刷範囲→全ページ、印刷部数→1、決算の種類→本決算
印刷対象では記名押印書を除くすべての書式を選択する。
すべての書類が完成しましたので、各書類について最終的なチェックを行います。
当税理士事務所ではまず担当者が行い、次に所長が再度チェックを行います。
チェックリストの項目は以下の通りです。
○法人税申告書・地方税申告書総合
法人名・事業年度の再確認 + 基本情報部分(住所他)の確認
決算確定の日は定時株主総会開催日か、「年」に間違いはないか
整理番号(地方税は法人番号)を申告書原本および前期分控と突合
予定納税額を役所から送付された申告書原本と突合
法人税等の金額が決算書の損益に比較して不自然ではないか
税額控除や軽減税率の適用不適用は反映されているか
地方税の税率は正しいか(法人税額が一定額以上の場合は再度地方税の税率を確認したか)
地方法人特別税の課税標準は正しいか
還付がある場合は還付口座を入力したか
(繰欠がある場合) 別表七と六号別表九の数値は原則として一致しているか
○別表四
必要な調整が過不足なく行われているか(前期の申告書とも突合)
前期に翌期認容項目の調整があれば反対調整をしてあるか確認
○別表五(一)
前期申告書の④列差引合計額と当期申告書の①列差引合計額を突合
資本金の入力もれはないか(特に新設法人や増資があった場合)
○別表五(二)
①列(期首未納税額)が前期申告書の期末未納税額と一致しているか確認
③列(充当金取崩納付)が31欄/期首納税充当金と一致しているか確認
⑤列(当期損金経理額)+32欄/損金計上納税充当金が決算書の法人税等と一致しているか確認
⑥列(期末未納税額)+事業税・地特税当期確定分が決算書の未払法人税等と一致しているか確認
罰金や附帯税等は損金不算入の欄(25〜30欄)に入力しているか確認
○申告書と決算書の突合
申告書と決算書の法人名・事業年度を突合
別表四の1欄と損益計算書の当期純利益金額を突合
別表五(一)の繰越損益金と株主資本等変動計算書の繰越利益剰余金を突合
別表十一の各債権の期末残高とBSの各債権を突合
別表一五の交際費支出額と販管費内訳書の交際費等を突合
別表十六とBSの減価償却資産・繰延資産およびPLの各償却額を突合
○消費税申告書
法人名・事業年度の再確認 + 基本情報部分(住所他)の確認
還付がある場合は還付口座を入力し、添付明細書も作成したか
○決算書
法人名・事業年度の再確認
仮払消費税等・仮受消費税等その他、ないはずの科目が計上されていないか
貸倒関係科目のPLの表示箇所は正しいか
注記表の内容に誤りはないか
○内訳明細書
法人名・事業年度の再確認
各項目は金額順に並んでいるか
誤字脱字はないか
各科目の合計金額と決算報告書との突合
○納付書他
各申告書の税額欄から納付書へ転記する
転記後に税目・法人名・整理番号(法人番号)・事業年度・金額について、申告書と納付書を再度突合