1、中間申告の概要
確定申告における税額が一定額を超えると、事業年度開始の日以後6ヵ月を経過した日から2ヵ月以内に
中間申告書(予定申告書)を提出し、納税しなければならない。
例えば3月末決算法人(5月末確定申告期限)の法人の場合は、11月末が中間申告・納付の期限となる。
納税すべき金額は基本的に確定申告における税額の1/2である。
中間申告による納税は確定申告による納税の前払いであり、確定申告による納税に際して充当される。
2、中間申告が必要となる確定申告税額
・法人税
→前年度の確定申告税額が20万円超(法人税申告書別表一の13欄の金額)
※確定申告における実際の納税額ではないことに注意する
・消費税
→前年度の確定申告税額(国税分)が48万円超(消費税申告書の9欄の金額)
・法人地方税(法人府民税、法人事業税、地方法人特別税、法人市民税)
→原則として法人税に従う。法人税の中間申告が必要であれば法人地方税の中間申告も必要、
法人税が不要であれば法人地方税も不要となる。
3、注意点
注意1:
税理士事務所の顧問先では確定申告の期限(決算期の2ヶ月後)は知っていても、
中間申告の制度・期限を知らない顧問先は多い。
顧問先も資金繰りの都合があるので、中間申告については税理士から早めのご案内が大切である。
中間申告の必要の有無は確定申告でわかるので、その時点でまず中間申告についてもご案内し、
その後も折りに触れてご案内しておく必要がある。
税理士事務所から顧問先への案内が十分にできていれば書類処理は単純作業となる。
注意2:
法人税、法人地方税の中間申告は不要でも消費税の中間申告は必要な場合がよくある。
その逆のケースも少数ながらありえるのでどのような中間申告が必要か、税理士事務所サイドで
十分に把握管理しておく。
注意3:
消費税については、前年度の確定申告税額(国税分)が400万円超の場合、年3回の中間申告が必要になる。
注意4:
・納付期限までに納付しなかった場合→原則として年14.6%の延滞税が課される。
・申告期限までに申告書を提出しなかった場合→申告書の提出があったものと見なされる。
確定申告書と異なり、無申告加算税等が課されることはない。
注意5:
中間申告基準日までに修正申告があった場合には、修正申告納税額を基にして中間申告税額が計算される。
4、事務処理
中間申告が必要な場合は中間申告月の月初までに各役所から申告書類・納付書が郵送されてくる
(確定申告の書類より少しタイミング遅い)。
納付書は基本的に金額がプレプリントされているので、そのまま納付していただく。
申告書は税理士事務所で適宜対応する。
Ⅰ 概要
法人税の申告書は決算日後2カ月以内の提出が義務付けられている。
期限後申告になると無申告加算税が課される。
さらに2期連続して期限後申告になると通常、青色申告が取消される。
定款上、定時株主総会の開催時期が「毎事業年度末日の翌日から3ヵ月以内」となっている法人については、
1ヶ月間の申告期限の延長が認められる(定款がそうなっていない場合は、定款を変更すればよい)。
実務上では特に事務処理体制に問題があり、常に期限後申告のおそれがあるような顧問先法人について、
予防策として申告期限の延長を行うと良い(税理士事務所スタッフのストレス軽減にも効果あり)。
まとめ:申告期限延長のメリット
一、青色申告取消の予防 二、無申告加算税の予防(利子税は課される)
Ⅱ 注意点
1、法人事業税・法人府民税・法人市民税も同様の制度があるが、消費税には延長の制度はない。
(青色申告の取消、無申告加算税の予防が目的なので、地方税についてはあまり気にする必要はない。)
2、申告期限の延長を行っても納期限は延長されない。
従って申告期限の延長に合わせて納税も1ヶ月遅れて行った場合は、延長した1ヶ月分の利子税が課される。
実務上は利子税を回避するため本来の申告期限内に概算で税金を納付し、後日税額確定後に差額精算することもある。
Ⅲ 手続き
①税務署
最初に適用を受けようとする事業年度の末日までに「申告期限の延長の特例の申請書」を提出する。
(理由欄は「定時株主総会開催時期」と記載する)
提出時に定時株主総会開催時期を定めた定款のコピーを添付した方が良い。
②府税事務所
税務署への届出書提出後、遅滞なく以下2件の書類を提出する。
「法人税に係る確定申告書の提出期限の延長の処分等の届出書」
「申告書の提出期限の延長の承認申請書(二)」
その際、税務署受付印のある「申告期限の延長の特例の申請書」のコピーを添付する。
③市町村役場
法定の提出書類はないが、市町村によっては税務署の受付印が押印された
「申告期限の延長の特例の申請書」のコピーを郵送すると申告書類送付時に納付書を1枚追加されてくる。
○休業の概要
諸事情により、法人としての事業活動や金銭の動きが一時的にすべて休止する場合がある。
このような場合は各役所に休業届を提出しておくことが多い。
但し休業中でも申告の義務はある。
特に法人税の申告書を提出しない場合、青色申告の取消(=青色欠損金の消滅)というデメリットがある。
このデメリットと、税理士事務所に依頼して青色申告を行うコストを比較して、
どのようにするか顧問先にご判断いただく必要がある。
○休業の届出
国税、地方税ともに「休業」に関しての特別な規定は存在しない。
届出書も専用の様式はないため、国税・大阪府・堺市とも異動届出書に「○年○月○日より休業」の旨を記載して提出する。
特に添付資料やエビデンスは要求されない。
休業後なるべく早く提出することが望ましいが、提出期限が定められているわけではない。
休業の年月日は実際に事業活動を行わなくなった日の日付になる。。
休業届を提出すると、国税の申告書は送付されるが地方税の申告書は通常送付されない。
○休業中の法人地方税均等割について
地方税法上、事業所と従業員を有さず、事業活動を行っていない法人は申告の義務も均等割の納付義務もない。
ただし解散の登記が行われない休業の場合は外見上それを証明することができないため、
均等割が減免されるか否かは市町村によって取扱いに違いがあるのが実情である。
大阪府・堺市は現状では休業届を提出すれば均等割は免除される。
(休業届とは別に均等割の減免申請書が必要な自治体もある。)
休業した事業年度については、均等割は休業までの月数分を納める。
○休業と解散を比較した場合のメリット・デメリット
〜メリット〜
・解散と清算の登記が不要であるため、税理士、司法書士や法務局へ支払う費用が節約できる。
・将来事業を再開する場合に法人を設立するための手間と費用がかからない。
〜デメリット〜
・経理処理は不要だが確定申告は原則として毎年行わなければならない。
・役員の任期満了に伴う重任登記は休業中も行わなければならない。