年末調整を行うにあたって、税理士事務所職員はまず源泉徴収の仕組みや
1年間の事務の流れをしっかり理解しておく必要があります。
当事務所では新人職員について、以下のような例を使用して源泉徴収事務を説明します。
☆平成22年1月1日 田中一郎は田中商事株式会社(3月31日決算)を設立して代表取締役に就任した。
〜お金の動きと仕訳〜
役員報酬(毎月25日支給)→毎月200,000円(源泉所得税1,500円)
税理士顧問料(毎月8日引落)→毎月21,000円(源泉所得税2,000円)
※但し6月は決算報酬として4ヵ月分を上乗せする。
〜源泉徴収関係事務〜
従業員を雇い給料を支給する場合は@「給与支払事務所等の届出書」A「納期特例兼納期限特例の届出書」を
所轄税務署に提出する。
源泉所得税の納付期限は原則として支給翌月の10日であるが、Aを提出すれば
1〜6月支給分を7月10日、7〜12月支給分を翌年1月20日までに納付すればよい。
(但し従業員10人未満の事業者に限る)
(但し届出後最初の1ヵ月分は必ず翌月10日に納付する必要がある)
上記の届出書を提出すると整理番号が付された源泉所得税の納付書が税務署窓口で発行されるようになる。
☆1月
〜お金の動きと仕訳〜
1月8日
税理士顧問料引落し:借方(支払手数料)21,000 貸方(現預金)19,000+(預り金)2,000
1月25日
給料支給:借方(役員報酬)200,000 貸方(現預金)198,500+(預り金)1,500
〜源泉徴収事務と仕訳〜
2月10日までに1月分の源泉所得税を納付する。
借方(預り金)3,500 貸方(現預金)3,500
☆2月〜6月
〜お金の動きと仕訳〜
毎月、税理士顧問料引落しと給料支給が行われる。
〜源泉徴収事務と仕訳〜
7月10日までに6月分までの源泉所得税を納付する。
借方(預り金)25,500 貸方(現預金)25,500
☆7月〜12月
〜お金の動きと仕訳〜
毎月、税理士顧問料引落しと給料支給が行われる。
〜源泉徴収事務と仕訳〜
年末調整を行い、田中一郎の還付額は1,600円と算出された。
翌年1月25日の給料支給時に年末調整還付額も合わせて支給した。
借方(役員報酬)200,000 貸方(現預金)198,500+(預り金)1,500
借方(預り金)1,600 貸方(現預金)1,600
翌年1月20日までに年末調整還付額を控除した12月分までの源泉所得税を納付する。
借方(預り金)19,400 貸方(現預金)19,400
◇インストラクター備忘
源泉所得税の納付書を、毎月用を一部・納期特例用を二部用意して実際に記入させながら説明する。