【設例】
リフォーム工事を行い3月31日までに完成していたが、4月3日に工事完了報告書に
お客様のサインをいただいたので、4月分の売上として計上した。
【解説】
前回、調査官はまず売上を調べると言いましたが、そのなかでも特によく見られるのが決算期末の次の月、
すなわち現在進行中の事業年度の最初の月の売上です。
通常、税務調査はその時点で既に終了している事業年度までを対象にするものであり、進行年度は調査の対象になりません。
にも関わらず、進行年度の最初の月の売上を確認するのは、その売上のなかに本来、前期の期末までに計上すべきものが
あるのではないかということを確認するためです。
このように売上の計上時期が本来の事業年度ではなく、次の事業年度になってしまうことを「売上の期ずれ」と言い、
前回の「売上の帳端」と並んで調査官の大好物の一つです。
期ずれがよく発生するのが業種が建設業関連です。
工事売上は、原則として工事が完成した時点を持って売上を計上します(これを工事完成基準と言います)。
この工事完成が決算日をほんの数日過ぎてしまっている場合などによく問題になります。
3月31日には既に工事が完了しており、お客様からは4月3日に工事完了報告書へサインをもらったような場合、
本来は3月の売上として計上しなければなりません。
実際には工事がいつ完了したかを確認するのは至難ですが...
工事完成基準の代表例は建設業ですが、最近はIT関係でも注意しなければならない事例が増えてきました。
例えばソフトウェアの開発なども(数百万〜数千万の仕事であれば)、建設業と同様に
その開発が完了した時点での売上計上となります。
税理士もどんどん勉強しなければならないことが増えてきますね。
ソフトウェア開発ってどの時点で完成となるのでしょう?納品書があれば一応その日付が基準になるのでしょうが。
この問題をさらにややこしくするのが仕掛工事です。つまり売上計上が翌期になると認められた場合には、
逆にそれまでその工事にかけた費用は今期は費用としないで繰り越し、翌期にあらためて費用とすることになります。
これについてはまた別の項であらためて解説しましょう。
【税理士からのワンポイントアドバイス】
工事やITの開発作業などは、完成した時点をもって売上も費用も計上します。