【設例】
仕入れにかかった費用を経費として処理した。
【解説】
販売用商品を仕入れるためにかかった費用のことを、仕入諸掛(しいれしょがかり)と呼びます。
普通に日本国内同士の会社で取引する場合はあまり登場しません。
例えば商品を販売者から購入者へ届ける場合、何らかの運送費用がかかっているはずです。
しかし業者間取引の場合はこの費用を別途請求することは慣習上あまりなく、
それら運送費用等も見込んで、商品単価に織り込んでいることが多いでしょう。
しかし海外から商品を輸入する場合は確実に様々な費用が発生します。
関税、通関料、保管料、保険料などです。
注意点はこれらは商品代金の一部として取り扱うことが必要で、単純な経費処理はできないことです。
どういうことかと言いますと、期末棚卸高には仕入諸掛のうち期末在庫分に対応する金額を
含めていかなければなりません。
しかし仕入諸掛を毎回按分して商品単価を算出し直すには大変な手間がかかりますので、
税理士事務所では実務上、以下の方法を取ることが多いようです。
1、上記諸経費を原価項目(仕入諸掛)として処理しておく。
↓
2、次の算式で求めた金額を期末棚卸高に含める。
仕入諸掛合計×輸入商品本体の期末棚卸高/輸入商品本体の期中仕入合計額
国内取引であっても仕入諸掛が発生した場合には、もちろん上記と同様の処理が必要です。
但し、税金関係(例えば販売用不動産を仕入した場合の不動産取得税・登録免許税、
販売用車両を取得した場合の自動車取得税・自動車税)は、例え本体が期末に在庫となっても
その年度で経費処理することが認められています。
【税理士からのワンポイントアドバイス】
仕入諸掛は商品代金の一部です。期末棚卸高にも含める必要があります。