【設例】
契約書に収入印紙を貼っていなかった。
【解説】
税務調査で調査官がまず重点的に調べるのは売上に関する資料ですが、その際に請求書や納品書はもちろんのこと、お客様と契約書を交わすような業種であれば売買契約書、請負契約書、請負金額変更契約書や、お金の貸し借りがあるなら金銭消費貸借契約書も確認しながらの調査になります。
実はこの時、契約書への収入印紙の貼り忘れや金額に間違いが無いかもチェックされています。
印紙税は収入印紙を貼らなければならない書類を作成した時点で納付義務が発生し、収入印紙を書類に貼り付け消印(割り印)することで納付が完了するので、普段は税理士事務所もあまり気にしないところですが、税務調査の際によくチェックされる項目でもあります。
では、税務調査で印紙税の納付漏れを指摘されるとどうなるかと言いますと、本来納付するべき印紙税の額+その2倍の金額=本来納付する印紙税の3倍の金額を過怠税(罰金)として納付しなければならなくなります。
ただし、調査で指摘を受ける前に「印紙税不納付事実申出書」を提出すると、過怠税の額は、本来納付するべき印紙税の額+その10%の金額=本来納付する印紙税の1.1倍の金額となります。
税務調査で貼り忘れや貼り間違いを指摘された場合でも、それが故意ではなく件数も少なければ税理士と調査官が話合いを行い、この申出書を提出することで1.1倍で済ませてもらえるケースがあります。
但し気をつけなければならないのは、過怠税は経費にはならないことです。
本来なら、収入印紙代は租税公課として必要経費になりますが、過怠税はその全額が経費になりません。
例えば、2万円の印紙税の漏れを指摘され、2万円+4万円=6万円の過怠税を納付したとします。この6万円すべてが経費にならないのです。
【税理士からのワンポイントアドバイス】
きちんと貼っていれば、印紙代は租税公課として経費になるものです。忘れずに貼って下さい。