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税理士試験29 各科目の特徴その三〜住民、事業、酒税〜

〜住民税〜

昭和56年の税理士試験より科目として新設された住民税法は、受験生の皆さんにも比較的なじみ深い科目であると言えるのではないでしょうか?

所得のある個人、法人等に課税される税金であり、具体的には都道府県民税および市町村民税の総称です。比較的実生活に密着しているので、試験対策としても取り組みやすいのではないかと思います。

 

税理士試験における住民税法では、理論問題と計算問題がバランスよく出題されています。選択必修科目である所得税法や法人税法に比べれば、ボリュームはおよそ1/4程度と少なく、およそ200時間程度の学習で習得が可能ということもあり、受験生には人気の科目であると言えるでしょう。

しかしながらボリュームが少ない分、受験生のレベルは高く、合格までの厳しさは他の科目に引けを取りません。

 

また税理士試験においては一般的に「住民税法はミニ所得税法」とも言われるとおり、所得税と同時に学習を進めると効率が良いとも言われています。

 

〜事業税〜

事業税法とは、法人、個人が行う事業活動に対して課税される地方税(道府県税)を指します。日常生活において比較的なじみの薄い法律であるためか、税理士試験においては受験者が少ない科目の一つです。

その数はおよそ1,000人前後、しかしながら合格率はやはり10%程度と少数激戦です。

 

税理士試験の税法科目では、理論と計算をバランス良く問う科目が多い中、事業税法では理論重視の出題傾向が見受けられます。

また事業税法は、法人税法と関連の深い法律であるため、両者を併せて学習する受験生が多くなっています。既に法人税法に合格した受験生の挑戦も目立っており、そういった意味でもハイレベルな戦いです。

 

事業税法の有効な対策としては、過去の出題実績を踏まえた“傾向学習”に取り組むことに尽きます。

事業税法は、税理士試験科目の中では古くからある科目のため、例年出題内容が安定しているからです。従って頻出論点の習得がそのまま実践力の養成につながるのです。

敬遠されがちな事業税法ですが、対策の立てやすさという意味では、わりと敷居の低い科目であると言えるかもしれません。

 

〜酒税法〜

税理士試験における酒税法とは、「最もボリュームが少なく、無理なく短期合格が目指せる」として知られる科目です。また、会計や難解な税法の知識を有さずとも取り組めるので、初学者や忙しい受験生などの挑戦が目立ちます。

ご存知の通り、酒税は酒類(アルコール分1度以上の飲料)に対して課される国税を指すわけですが、税理士の実務においてはほとんど関わってこない科目であるとも言えます。よって、1日も早い税理士試験合格をとるか、合格後の有用性をとるかは難しい選択ともなるでしょう。

 

税理士試験において、酒税法では「とにかく失点をしないこと」が肝心です。

合格ラインは例年100点中90点を超えるほどのハイレベルな戦いとなるため、ひとつのミスが命取りにもなり得るのです。

出題傾向としては、比較的計算問題の比重が高い科目となっているので、ボリュームの少ない理論分野ではもれのないよう暗記、計算分野に関しても正確さ重視の対策が求められるというわけです。

 

酒税法と固定資産税法については、税理士試験科目から外されるとの声が挙がっており、今後はどういう方向にいくのか注目が集まるところです。

「少ないボリュームを完璧に習得し、確実に合格へとつなげたい」という受験生は、酒税法が税理士試験科目から削除されぬうちに、早い段階で合格をきめておくと良いでしょう。

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