今年、平成26年の5月決算(7月申告)から税務代理権限証書の様式が変更されています。
具体的に言いますと、「過年分に関する税務代理」と「調査の通知に関する同意」という項目が設けられました。これは税務調査との関係において特に設けられた項目です。
まず「過年分に関する税務代理」ですが、これは例えば税理士変更があった場合、お客様が顧問税理士を変更した場合です。
通常、税理士変更の場合は今の顧問税理士が過去の年分のものも対応しますが、税務署としてはその委任関係が明確ではありません。
そこでこのような項目を設けておくことで、前の税理士の時代の申告についても、今の税理士が税務調査対応にあたるのだということが明確になるというわけです。
もう一つ、調査の通知に関する同意ですが、これは「税務調査を行います」という電話連絡を誰にするかという話です。
これまで慣習として、税務署は顧問税理士に対してだけ連絡を入れて、税理士からお客様への連絡を行っていました。
ところが平成25年から国税通則法という法律が変更されて、税務署は税理士とお客様の両方へ連絡しなければならないということになりました。
そうすると実際には現場で混乱が起こったわけです。
お客様としてはいきなり税務署から電話がかかってきて税務調査をしますと言われればびっくりします。顧問税理士としてもお客様との信頼関係がこわれる恐れがありますね。
そこでこの「調査の通知に関する同意」という項目を設けることで、従来通り、税理士にだけ税務調査の連絡をすればよいようにしたわけです。
これは今後提出する権限証書に関してということになりますから、全部のお客様について新しい権限証書を提出するのは来年、平成27年の4月決算6月申告までかかります。
それまではまだ税理士とお客様の両方に通知が入る可能性があるということは覚えておいて下さい。