平成29年度税制改正について
平成29年度の税制改正については、大きく、以下二段階のスケジュールで進行しました。
平成29年3月に成立したほうが、一般的に税制改正と呼ばれるものですが、今回はその前に消費税率の引上げを延期する法案が成立しています。
平成28年11月18日 改正消費税法案(※1)が参議院で可決・成立
平成29年3月27日 税制改正法案(※2)が参議院で可決・成立
※1
正式名は
社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律等の一部を改正する法律案
※2
正式名は
所得税法等の一部を改正する等の法律案
消費税率の8%から10%への引上げは当初、平成27年10月1日からと予定されていましたが、安倍首相は景気判断条項を踏まえ、これを平成29年4月1日まで1年半延期しました。
さらに平成28年6月1日、首相は「これまでと異なるリスク」「新しい判断」を根拠として引上げを平成31年10月1日までの2年半、再度延期する旨を表明しました。
確かに、地方の中小企業や雇用者給与の状況を考えれば日本経済はまだ力強いとは言い難く、かと言って我が国の財政状況を考えれば増税をいつまでも先延ばしできないこともまた明らかです。
いつかは引上げなければならない消費税率ですが、それに伴い導入される軽減税率や適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)は、事業者にとって過重な事務負担を強いるものになると懸念されています。
消費税は今後長期にわたって我が国の根幹となる税金ですから、今回の延期を機会に、より簡素で公平な制度設計があらためて議論されてもよいのではないでしょうか。